赤字の続くRIZAP(ライザップ)グループ社長瀬戸健氏が2019年6月22日、株主総会で取締役退任を宣言する事態となりました。ライザップといえば、結果にコミットのパーソナルトレーニングジム“ライザップ”の他にも、女性専用暗闇フィットネスジム“EXPA(エクスパ)”、エンターテインメントフィットネス“TetraFit(テトラフィット)”なども関わっているので、これらのジムに通う方は大変心配しているのではいでしょうか。
「ご迷惑とご心配をおかけし申し訳ございませんでした」株主総会冒頭に頭を下げた瀬戸健氏は、20年3月期について「黒字でなければこの場にいない。これは自信の表れであると受け止めていただければと思う」と宣言しました。159億円の黒字を見込んでいた2019年3月期連結決算の純損益が193億円の赤字に転落。批判が殺到することが予想されましたが、株主からは励ましや応援の声が上がったそうです。
実は、本業のフィットネスについては順調なのだそうですが、M&A(企業合併・買収)での損失が埋められず、このような事態になってしまいました。M&Aに対しては一時“爆買い”と称される程の状態で、兼ねてより株主から批判の声もあがっていました。瀬戸氏はこれに対しM&A凍結の意向を示しています。
今後の対策としては、業績の振るわない子会社の構造改革を行い、フィットネスジム事業では全国の医療機関と提携して、ヘルスケア分野にも拡大するなど、引き続き攻めの展開を続けることで何が何でも黒字を計上する狙いです。
ライザップグループには取締役が6名存在します。24日には一定のめどがついたとし、6月中に松本晃取締役が退任すると正式な発表がありました。松本氏は特別顧問に就き、瀬戸氏への助言を続ける意向で、新たに設ける取締役会議長には、社外取締役になる元住友商事副社長の中井戸信英氏が就任しました。
今回の発表により、社内取締役は瀬戸氏のみになります。総会で20年3月期の結果によっては瀬戸氏も退任する旨を表明していますが、同総会で松本氏は「少し軌道修正すれば大きな成長軌道に乗れる」と発言し、瀬戸氏にエールを送っています。
フィットネス事業以外でも頑張ろうとして失敗しちゃったというだけの話なのですが、規模が大きすぎて本業のフィットネス事業も揺るぎかねない状態が続いています。大きくつまずいた原因とされているのがCD・DVD販売の「新星堂」などを展開するワンダーコーポレーションの買収で、店舗にフィットネスジムを展開する狙いでしたが、新星堂は市場縮小の傾向と思惑が外れ、結果としてワンダーコーポレーションは連続赤字となっています。
ライザップではゴルフ教室や英会話教室も展開していますが、現状は投資段階で収益の柱としてはまだまだの状態と言わざるを得ません。稼ぎ頭であるフィットネス事業にさらに力を入れることが選択され、株主もジム会員もひとまず安心といったところでしょうか。引き続き後が無い状態ですが、今度こそ黒字に向け、結果にコミット!が求められています。