アイテムニュース 2019.04.13

消費者庁ストップ!加圧商品は痩せないし筋肉増強効果も無いの?

消費者庁ストップ!加圧商品は痩せないし筋肉増強効果も無いの?

消費者庁は2019年3月22日、加圧シャツなどを販売する9社に対し措置命令を行ったことを公表しました。加圧シャツは着るだけで筋肉増強や痩身といった効果が期待できるという内容で販売されていますが、この点に根拠があるかどうかが争点となりました。

消費者庁は9社に対し、期間を定めて宣伝している効果の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めました。この内2社からは返答が無く、7社が資料を提出。でも、その資料はいずれも裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められませんでした。このような、実際のものより優れているかのような広告は景品表示法の第5条第1号「優良誤認」に該当する為、再発防止などの措置命令が行われました。

ここで気になるのが、加圧ブームの先駆けともいえる「メディキュット」です。就寝時に履くだけのお手軽美脚ソックスとして抜群の知名度を誇りますが今回対象ととなった9社にメディキュット販売元であるレキットベンキーザー・ジャパン株式会社は含まれていません。一体、措置命令対象となる線引きはどこにあるのでしょうか?対象外であれば痩身や筋肉増強効果を期待しても言いのでしょうか?

ここで、今回対象となった商品「パンプマッスルビルダーTシャツ」と、対象外だった「メディキュット」の表示内容を比べてみましょう。

■パンプマッスルビルダーTシャツ

 ・「トレーニングジムオーナーのヒロミが開発! 着るだけで劇的変化!!
 ・腹筋を割りたい人に!! 大胸筋を大きく見せたい人に!!
 ・「簡単にマッスルボディを目指したいあなたへ!!※ 加圧シャツ パンプマッスルビルダーTシャツ ※加圧効果によりヒロミプロデュース商品の実力はお墨付き!!
 ・パンプマッスルビルダーTシャツの5つの秘密
 ・秘密① 360度加圧、「強力な加圧が身体に負荷をかけ、日常の動きでも無意識に身体を締め付ける!」
 ・秘密② 大胸筋を引き締め、男らしい胸板に「大胸筋周りに縦と横の加圧ラインをいれることで大胸筋をくっきり魅せる!」
 ・秘密③ 腹直筋、腹斜筋をサポート 引き締まったウエストに「ポッコリお腹が気になる腹部に太く加圧ラインをいれることでスリムなお腹へ補正。脇下にも縦の加圧ラインをいれ、前だけでなく腹部全体を引き締めてかっこよくボディメイク。」
 ・秘密④ 広背筋を引き寄せ、理想的な姿勢に「背中のY字の加圧ラインが着るだけで広背筋を引き寄せキリっとした姿勢に。」
 ・秘密⑤ 三角筋を引き締め、男らしくたくましい腕に「鍛えるのが難しい肩の筋肉も肩幅がひと回り大きい男にサポートする。」
 ・朗報です!! 着るだけでマッチョが目指せる※加圧効果により 話題の加圧シャツ! ヒロミプロデュース パンプマッスルビルダーTシャツ
※消費者庁資料より一部抜粋

■メディキュット

・キュット感が違う!スッキリ美脚へ
 ・寝ながらメディキュットは選べれてシェアNo.1
 ・寝ている間に履くだけで、翌朝スッキリ美脚に導く「寝ながらメディキュット」シリーズ。就寝時加圧ソックスのパイオニアメディキュットは、国内ナンバー1のブランドです。
 ・寝る時専用設計の加圧ソックスで寝ている間に翌朝スッキリ美脚
 ・インレイ糸で安定した段階加圧「横に編み込んだインレイ糸によって安定した段階圧力値を実感。効果的に脚をひきしめます。
 ・ロングタイプだから足全体をじっくりケア「つま先なしでお休み中の熱を発散。幅広リブでずれにくく、寝返りを打っても安心。足全体をじっくりケア。
※「メディキュット」ホームページより一部抜粋 

「パンプマッスルビルダーTシャツ」は「着るだけで劇的変化!!」「ポッコリお腹が気になる腹部に太く加圧ラインをいれることでスリムなお腹へ補正」「腹部全体を引き締めてかっこよくボディメイク。」など全体的に効果について強い口調の宣伝がありました。一方メディキュットが具体的な効果に触れているのは「寝ている間に翌朝スッキリ美脚」「安定した段階圧力値を実感。効果的に脚をひきしめます」など。
ぱっと見た印象は「どっちも効果があるような宣伝してるじゃん!」と思いますが、画像付きでみてみると全く印象が変わってきます。「パンプマッスルビルダーTシャツ」は、マッチョな男性の写真が沢山掲載されており、「メディキュット」は商品を着用した状態の脚と繊維の画像のみでした。

恐らく、「パンプマッスルビルダーTシャツ」は「これを着たら、こんなにマッチョになれるよ」とストレートに受け取れる宣伝なのに対し、「メディキュット」は「着用時の引き締め(美脚)効果すごいよ」という内容を強く押し出し「履いたら脚痩せ効果あるよ」とも受け取れる表現であることが違いのようです。

問題は“効果”や“効能”です。実は効果や効能についての具体的な表現は、特定保健用食品等で正式に認可されない限り使用してはいけないんです。実際に効果があったとしても書いてはいけないというのがルール。実は、私も便秘を改善させるダイエットティーについての宣伝文句を担当したことがあります。入っているお茶っ葉一つ一つの効果は絶対に書いてはいけませんし、“便秘を改善させる”と受け取れる内容もNGでした。しかも、そのダイエットティーは「効果がありすぎて危険な可能性がある」という理由で販売を禁止されてしまったのです。

そう、効果についての表現が禁止されている上に、効果がありすぎるものもダメなんです。歯磨き粉やサプリの成分が日本と海外で違うのと一緒で、日本では効果がありすぎて安全性が少しでも疑わしいものは販売できません。つまり、“効果があるかも知れない”or“絶対安全で少しでも効果がある”もののみ販売可能であり、前者の場合は具体的な効果について触れないことが大前提です。

一般的に販売されている加圧商品の効果については“効果があるかも知れない”の段階です。「実際に筋肉がついた」「痩せた」という方も多いと思います。個人的には加圧商品の着用で意識的に筋肉に力を入れることで効果が出ることは頷けます。ドローイングや矯正下着と一緒で、長期間着用することで非着用時も着用時と同じくらいの体型を保つことも可能だと思います。ただし、筋肉を意識しない方や、むくみ知らずな方にも効果があるのかは疑問です。

加圧商品愛用者の方はがっかりしてしまう内容かも知れませんが、痩身や筋肉増強効果についてはまだ可能性の段階であり根拠に乏しい状態です。しかし、今回の9社の措置命令も、問題は商品ではなく宣伝内容です。先にも述べたように全く効果が無いとは言い切れないと感じていますし、もしかしたら効果が証明される日が来るかもしれません。

あくまで痩せたり、筋肉を増やす効果を得られるのは自己努力の結果です。消費者である私たちにできることは、過信して、商品に頼りすぎないことです。ダイエットや筋肉増強商品はあくまでサポート役であるということを忘れてはいけません。

参照:
加圧による痩身効果及び筋肉増強効果を標ぼうするシャツ等の
販売事業者9社に対する景品表示法に基づく措置命令について

メディキュット

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