ニュース 2019.09.01

【驚愕】トレーニングに革命か?順天堂研究、競技によって適した「筋肉の質」が違う!

何となく説得力がありますよね「アスリートは競技によって適した筋肉の質が違う」そう言われれば、そうなのかな?なんて、思い当たる節があります。アスリートを間近で見ると、自分の知る筋肉とは別物だなっと感じたりします。あくまで何となく感じるだけで、具体的にはよく分からないアスリートの筋肉の違い。これを科学的に証明したのが順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科の宮本直和 准教授らの研究グループです。アメリカスポーツ医学会雑誌「Medicine & Science in Sports & Exercise」オンライン版で公開され今後のトレーニングのあり方に影響を与えるのでは?と期待されています。

結論から言ってしまうと、「硬く伸び縮みしにくい筋肉」を持つ陸上競技選手の方が100m走(短距離)のパフォーマンスが高かった一方、「軟らかく伸び縮みしやすい筋肉」を持つ選手の方が5000m走(長距離)のパフォーマンスが高かったんです。

これまで、軟らかく伸び縮みしやすい筋肉が「良い筋肉」「良いバネ」なんて言われていましたが、実は硬く伸び縮みしにくい筋肉も「良い筋肉」であり「良いバネ」だということが分かりました。この場合の軟らかさ、硬さは、「触った感触」ではなく単純に「伸び縮み」の強度です。アスリートが高いパフォーマンスを発揮する上で筋肉の質と競技種目との組み合わせが重要であり、どうやらアスリートはこれに応じたトレーニングを行う必要がある様です。

優れたアスリートの「何処の筋肉が発達しているのか?」「どのくらいの筋肉があるのか?」なんかは盛んに検討され、実際のトレーニングにも活かされています。でも、筋肉の質についてはあまり調べられていなくて、硬さのような機能的特徴について注目されることは、あまりありませんでした。

どのようなトレーニングを行うと筋肉が硬く伸び縮みしにくくなるのか(または軟らかく伸び縮みしやすくなるのか)などは研究中ですが、筋肉の硬さは、“アスリート遺伝子”と呼ばれるαアクチニン3遺伝子や肉離れなどの筋損傷受傷リスクと関連があるエストロゲン受容体遺伝子のタイプの影響を受けることが分かってきているのだとか。研究チームは、アスリートが最高のパフォーマンスを発揮できる、競技特性と個人の特性を考慮したカスタムメイド型トレーニング法の構築を目指していく見通しです。

パフォーマンスの向上はもちろん、怪我のリスクも大きく軽減できるトレーニング方法が確立するかもしれません。まだまだ詳細な研究が必要なようですが、これまでのトレーニングの概念が一変することになるかもしれませんね!

【原著論文】
本研究はアメリカスポーツ医学会雑誌「Medicine & Science in Sports & Exercise」オンライン版で先行公開(2019年5月3日付)されました。

論文タイトル
  Muscle stiffness of the vastus lateralis in sprinters and long-distance runners
タイトル日本語訳:
 陸上短距離走選手および長距離走選手の外側広筋のスティフネス
著者
  Naokazu Miyamoto, Kosuke Hirata, Kakeru Inoue, Takeshi Hashimoto
著者名(日本語表記)
 宮本直和1,2)、平田浩祐2,3,4)、井上駆1,5)、橋本健志5)
所属先(日本語表記)
 1)順天堂大学、2)鹿屋体育大学、 3)日本学術振興会、4)芝浦工業大学、5)立命館大学
掲載誌
  Medicine & Science in Sports & Exercise
DOI
  10.1249/MSS.0000000000002024

《関連リンク》順天堂大学WEB「JUNTENDO SPORTS」掲載 研究者インタビュー
 アスリートが最高のパフォーマンスをけがせず発揮できるように
 -「筋肉」を研究する元アスリートの挑戦-
https://www.juntendo.ac.jp/sports/news/20190730-02.html

アスリートの「筋肉の硬さ」と「競技パフォーマンス」の関連性を明らかに~ 競技特性と筋肉の質に応じたトレーニングの必要性を示唆 ~ 

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