ビタミンCは最も軽視されているビタミンだと感じています。昨今の健康ブームでサプリメントやエナジードリンク等は以前より気軽に摂取されていますし、その中でもビタミンCを含むものは数多く存在し、人気があるのは間違いありません。しかし、そのイメージは美容や健康、すぐに尿として排泄される栄養素。意識的に摂取することに意味があるのでしょうか?
実は、ビタミンCは摂取する意味よりも、摂取しないことで恐ろしい問題を引き起こすことが証明されたのです。東京都健康長寿医療センターと東邦大学、首都大学東京、順天堂大学の教授らは共同で、骨格筋でのビタミンC不足は、筋萎縮や身体能力の低下をもたらすことを明らかにしました。
同研究は、ビタミンCを合成できないマウスを使い、腓腹筋、ヒラメ筋、足底筋、前脛骨筋、長趾伸筋などの骨格筋がどのように変化するかを測定したものです。その結果、ビタミンC不足期間が長くなると筋肉を構成する筋線維が細くなり、筋重量が減少してしまいますが、ビタミンCを与えると再び回復したそうです。なんだか、ほうれん草を食べてムキムキになるポパイのような話ですが、実際にビタミンCの不足が、骨格筋の萎縮や身体能力低下の原因となること分かったのです。
この研究結果は英国科学誌Natureの姉妹誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」誌(電子版)に2019年3月20日付けで掲載されました。
標準的な人間の男女の骨格筋量は、体重の30~40%を占め、その中にはビタミンCが多く存在しています。これまで「ビタミンC濃度が高い=身体能力が高い」ということは分かっていたけれど、逆にビタミンC濃度が低い人の身体能力が低い理由が分かっていませんでした。ビタミンCの不足が筋肉に直接影響を及ぼしていたのです。
では、ビタミンCを大量に摂取すれば、筋肉がつきやすくなるなるのでしょうか?ビタミンCは人間には合成できない栄養素ですが、野菜や果物などの食事から気軽に摂取可能です。摂取の目安は15歳以上であれば1日100mgほど。サプリメントであれば直ぐにでも摂取できる量ですが、実は食事以外での1g以上の摂取は推奨できないそうです。
ただし、食事から過剰摂取に至ったようなケースが存在しない…とのことなので、ビタミンCはなるべく食事から摂取することが理想的といえます。ご存知、ビタミンCは壊れやすく溶けやすい水溶性ビタミンです。摂取しても2時間ほどで殆どが排泄されると言われているので1日の食事の中で何度かに分けて摂取することが最も効率的と言えるでしょう。毎食サラダやデザートを付けて調整するのが簡単です。
野菜や果物は“オマケ”程度にしか食べていなかった方は、積極的に摂取することでトレーニングでの成果が出やすくなるかもしれませんね。
参照:
骨格筋でのビタミンC不足は筋萎縮や身体能力の低下をもたらす https://www.tmghig.jp/research/release/2019/0322.html
https://www.tmghig.jp/research/release/cms_upload/release20190322.pdf